沖縄県連2018年回顧 私宅監置・写真展と書籍出版
沖縄になぜ、今日まで座敷牢(私宅監置)の小屋が残っていたのか!
今に続く形を変えた社会の隔離・排除を問い、これからの地域精神保健をどのように展望していくか?
このテーマの下に、2018年4月沖縄県立博物館・美術館、7月石垣市民会館、そして12月豊見城市役所において、写真展・シンポジウムを巡回開催しました。また、12月の奈良での展示会を契機に、県外にも反響が広がり始めました。
タイトルは、「写真展『闇から光へ』知られざる沖縄戦後史~精神保健の歩みを見る・聞く~」。シンポジウム「私宅監置の実態を知り、今後を考える」では、当時の保健所職員からあまりにも悲惨だった歴史の証言を聞き、監置された側の立場、そこに追い込まれた家族の立場の話も聞くことができました。また、『生きていた座敷牢』が上映され、立ち見も出るほど多くの参加者から目撃証言や様々な声がありました。
この取り組みで、アンケートやご意見として、記憶の継承が課題となったことから、書籍出版に取り組むことになりました。そして、高文研が出版を引き受けて下さいました。
ところで、これに関する報道が全国的な高い評価を受けて、9月18日、反貧困ネットワークの貧困ジャーナリズム賞に、沖縄タイムス新垣綾子記者による「沖縄の精神障がい者の私宅監置問題」キャンペーン報道と、那覇市フリーテレビディレクター原義和さんの「消された精神障害者~沖縄の私宅監置」(NHK・Eテレ、ハートネットTV)が選ばれました。
9月20日には、日本民間放送連盟賞のラジオ報道番組部門最優秀賞に、ラジオ沖縄が放送した「私宅監置・沖縄~扉がひらくとき~」(企画制作・西中隆氏)が選ばれました。
こうした社会的反響をバックに、今後は、出版した書籍を全国にも広め、監置小屋に関する記録・保存を拡充するとともに、地域精神保健の将来を共に構築するネットワークを広げていきたいと思います。
記・高橋年男(沖福連事務局長)